6月14日(日本時間15日)にアルゼンチン・ブエノスアイレスのカジノ・ブエノスアイレスで行われた、WBA世界バンタム級暫定王座決定戦で、42歳の元世界5階級制覇王者(暫定含)で同級5位のノニト・ドネア(フィリピン)=43勝(28KO)8敗=は、同級8位アンドレス・カンポス(チリ)=17勝(6KO)3敗1分=を9回負傷判定で破り、暫定王座を獲得。
WBAのチャンピオンベルトを手にしたドネアは、「今のところ、僕の頭の中には何のプランもない。今はただ健康であることに感謝して休まなければならない」と今週メディアとのインタビューに答え、近い将来に試合をする予定はない事を明らかにした。

2連敗中、約1年11ヶ月ぶりのリング復帰となる再起戦の舞台は、WBAの推進する“KO to Drugs”・フェスティバルと、開催国となったアルゼンチン、アルゼンチンからセルヒオ・マルチネスを世界王座に導いたプロモーターのサンプソン・リューコーイッツ(ウルグアイ・米在住)らにより用意された。
対戦相手には3月29日(日本時間30日)にアルゼンチン・ブエノスアイレスで、WBA世界バンタム級11位にランクされていたミシェル・バンケス(ベネズエラ)=23勝(15KO)6敗=に判定勝ち(97-93、97-93、95-95)を収め、同級15位にランクインしたルチアーノ・フランシスコ・バルドー(アルゼンチン)=21勝(1KO)4敗=が用意されていたが、ケガにより戦線離脱。
他の適当な対戦相手がなかなか決まらず、フライ級からスーパーフライ級に上げ1勝1敗の星を残していた元世界フライ級挑戦者のカンポスが選ばれる事になり、この試合の為にランキング入り。
試合は身長、リーチで勝るドネアがパワーを前面に出し、動いてジャブ、右ストレートを狙うカンポスを手数、有効打で上回り優勢のまま9回に突入。偶然のバッティングにより、ドネアは右目上をカット。試合は中断されドネアが右目の視界不良を訴えると、リング・ドクターはルイス・パボン(プエルトリコ)主審に試合の停止を勧告。
パボン主審はドクターの勧告を受け入れ試合をストップ。勝敗は第9ラウンド負傷判定となり、ギジェルモ・ピネダ(パナマ)88-83、イグナシオ・ロブレス(パナマ)87-84、ホセ・ロベルト・トーレス(プエルトリコ)87-84のスコアでドネアが勝利。

得意の左フック、左ボディを強打し、右ストレートを打ち込んだドネアだったが精度はいまひとつで、観衆に見せ場を作る事は出来まま試合は終了。ドネアは「このようなことが起こって申し訳ない」と神妙な表情で勝利者コールを聞いた。
時間との戦いもある42歳のドネアと、カンポス戦でもチーフセコンドを務めたレイチェル夫人に焦りはなく、「まずは初心に戻って、どうすればもっとうまくやれるか、自分のスタイルで改善すべき点をチェックしなければならない。僕は自分の体を大切にすることに関しては、非常に厳格なんだ。それから、最良の選択肢を考えてみよう」(ドネア)。

WBA世界同級はレギュラー王者だった 堤 聖也(角海老宝石)=12勝(8KO)無敗3分=選手が、左目の負傷により休養王者となり、昨年12月のWBA総会ファイトで暫定王座を獲得したアントニオ・バルガス(米)=19勝(11KO)1敗1NC=が、レギュラー王者に昇格。
バルガスはエディ・ハーンのマッチルーム・ボクシングとマルチ契約を締結。7月30日に横浜BUNTAIで、元WBC世界フライ級王者で同級3位の比嘉大吾(志成)=21勝(19KO)3敗2分=選手の挑戦を受ける事が決まっている。順当ならドネアはこの試合の勝者と戦う事になるが、堤選手の存在もある。
WBC、IBF世界同級王者の中谷潤人(M・T)=31戦全勝(24KO)=選手に対し、「井上と戦う前に俺とやれ!」と対戦を熱望。「中谷に勝って、また、井上と戦いたい」との野望を公言していたドネアが選ぶ、”最良の選択肢”が気になるが、決定するまでにはまだまだ時間がかかりそう。