元IBF世界スーパーフライ級、WBO世界バンタム級王者ゾラニ・テテ(南ア)が、8月21日(日本時間22日)に南アフリカ・ムダンツァネの自宅で銃撃を受け非業の死を遂げた。享年38歳。生涯戦績29勝(22KO)4敗1NC。テテは4年間の出場停止処分を終え、11月29日(日本時間30日)に南アフリカでリング復帰を果たす準備を進めていた。
事件は午後6時30分頃発生。防寒用の目出し帽バラクラバを被り武装した二人組が玄関先でテテを待ち受け、ジムでのトレーニングを終え、車で帰宅したテテと同乗の27歳の女性に発砲。玄関ゲートが空くのを待っていたテテは、銃弾の雨から逃れようと庭に車を突っ込んだが果たせず、現場で死亡が確認された。
犯人は今も逃走中で、「何かを見かけた方、何かをご存じの方、何かを耳にした方は、ぜひ名乗り出てください。その地域社会には、犯人が誰かを知っている人が必ずいます。」と、警察が呼び掛けている。
南アフリカ・スポーツ・芸術・文化省のゲイトン・マッケンジー大臣は、「南アフリカは、同国が生んだ最高のファイターの一人を失った。まずはご家族とムダンツァネの住民の皆様に語りかけたいと思います。今夜、皆様が失ったものの重みに匹敵するような言葉は、私には見つかりません。ご子息のお名前は、この国において軽んじられることは決してありません。また、私の省および私たちは、今後数日間、皆様のお役に立てるよう、あらゆる形で支援いたします。」との声明を発し、哀悼の意を表した。

テテは2014年7月18日に神戸ポートピア・ホテルで、帝里木下(千里馬神戸)選手と空位のIBF世界スーパーフライ級王座を争い、12回判定勝ちで世界王座を獲得。サウスポースタイルの洗練されたボクシングは、日本のファンを驚愕させた。
スーパーフライ級王座を返上したテテは、2017年4月にアーサー・ビラヌエバ(フィリピン)に勝ちWBO世界バンタム級暫定王座を獲得。その後、マーロン・タパレス(フィリピン)の体重超過により正規王座に昇格したテテは、2017年11月18日(日本時間19日)に英・ベルファストでシボニソ・ゴニャ(南アフリカ)と対戦。

試合開始後6秒、最初に放った右フックで一発でゴニャはダウン。キャンバスへ大の字になったゴニャは全く動く気配を見せず、フィル・エドワーズ主審(英)はカウント途中で試合をストップ。テテの初回11秒TKO勝ちとなったが、この記録は世界戦の最短KO記録として今も破られていない。
少年時代のテテの憧れは、IBF世界スーパーバンタム級王座を13度防衛したブヤニ・ブング(南アフリカ)で、制服の下にボクシング用具を隠して学校に持ち込むほどだった。ブングに魅されたテテは18歳の誕生日を前にプロボクシングデビュー。世界2階級を制覇する王者となった。
しかし、38歳となってもリングへの情熱は衰えず、4年ぶりのリング復帰を決断したテテは、スーパーバンタム級、フェザー級までの4階級制覇という大きな目標を掲げていた。
「彼も、そして私たち全員も、大切なものを奪われてしまったのだ。」というマッケンジー大臣の言葉通り、南アフリカの多くの人々がテテの突然の死を悼み、悲嘆にくれている。どうか安らかに、ご冥福をお祈り申し上げます。
