1月24日に東京・有明アリーナで決まっていた、4団体統一世界スーパーバンタム級王者井上尚弥(大橋)=28戦全勝(25KO)=選手への挑戦を、左瞼の負傷によりキャンセルした、IBF&WBO世界同級1位サム・グッドマン(オーストラリア)=19戦全勝(8KO)=は、IBF最新ランキングで1位の座をキープ。井上選手との対戦が決まった金藝俊=キム・イェジョン(韓国)=21勝(13KO)2敗2分=の名前は、トップ15にない。
グッドマンは昨年12月14日に行われたスパーリングで、左瞼を4針縫う裂傷を負い、10日後に控えていた井上選手とのタイトルマッチは1ヶ月間延期された。しかし、1月11日に行われたスパーリングでこの傷口が開き、今度は14針縫う事態となり、井上選手への挑戦を正式に辞退。
試合を控えた練習中の負傷により、指名挑戦の機会を断念したグッドマンの今後のランキング維持が注目されていたが、新しく発表されたIBFランキングでグッドマン1位は変わらずキープ。2位は空位で3位には前王者のマーロン・タパレス(フィリピン)=39勝(20KO)4敗=がランクされ、3位にシャバズ・マスード(英)=14戦全勝(4KO)=となっている。
また、グッドマンはWBOにも挑戦者資格の保持を正式に要請。これに対しWBOは、今後10日以内に医学的な負傷に関する証拠と、回復に要する時間の詳細な説明を提出するよう求めている。
状況的に負傷した際の動画も残されている事から、WBOもグッドマンのランキング1位からの降格はなく、そのまま指名挑戦者としての資格を維持する事になると思われる。
傷口の形成手術を受ける為、今後、6ヶ月間は試合への出場が出来ない事が明らかにされたグッドマンだが、復帰すれば世界王座挑戦の機会は与えられる事になるだろう。しかし、昨年5月6日に東京ドームのリング上で井上選手から、「9月に戦おう」と直接対戦オファーを受けたにもかかわらず、9月に井上選手と戦う事を辞退した理由は、アクティイブに戦いコンディションを整えるというものだっただけに、長期ブランク明けの即挑戦に踏み切れるかどうかはわからない。
大橋ジムの大橋秀行会長は、井上選手がグッドマンの代役キムに勝てば、次戦は米・ラスベガスでWBC世界同級1位にランクされるデビッド・ピカソ(メキシコ)=31勝(17KO)無敗1分=と対戦。その次はスポンサー契約を締結したサウジアラビアで、WBA暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)=12勝(9KO)1敗=と対戦する事になると明かしており、グッドマンはその次となる。
グッドマンの最初のケガは不運だったが、短期間での2度目は不運とは言えまい。井上選手との戦いで得られるはずだった、100万ドルのファイトマネーを当てにして家を購入した時点で、隙が出来ていたと思わざるを得ない。
しかし、グッドマンはまだ26歳。ここまでタフな戦いを連続的にこなし、勝利して来た。復帰後のストーリーに注目したい。