IBFが指令している世界ライト級暫定王座決定戦。同級2位(1位は空位)にランクされるザウル・アブドゥラエフ(ロシア)=20勝(12KO)1敗=と、同級4位のレイモンド・ムラタラ(米)=22戦全勝(17KO)=の一戦は、2月4日(日本時間5日)に入札の開催が決定。
アブドゥラエフをプロモートするRCCボクシングと、ムラタラをサポートするトップランクは、4月5日(日本時間6日)の開催を目標に対戦交渉が続けられていたが、1月23日(日本時間24日)の交渉期限までに対戦同意に達しなかった。
IBF世界同級王者ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)=18勝(12KO)3敗=は、昨年5月12日にオーストラリア・パースのRACアリーナで行われた、IBF世界ライト級王座決定戦で、ジョージ・カンボソスJr(オーストラリア)=21勝(10KO)3敗=を11回2分49秒TKOで破り、世界王座返り咲きを果たしたが、昨年末のトレーニング中に腰を負傷。年明け早々に、母国ウクライナでMRI検査を受ける事が明らかにされ、現在も戦線復帰の話はない。
ロマチェンコは、昨年11月に米・ラスベガスでWBA世界同級王者ジェルボンテ・デービス(米)=30戦全勝(28KO)=との王座統一戦が計画されていたが、家族と過ごす時間を増やすために年内の休養を宣言。子供たちの学校の問題。そして戦火にある母国ウクライナを憂うロマチェンコは、このまま現役を引退する可能性もあると見られている。
IBFはアブドゥラエフvsムラタラの勝者と、ロマチェンコによるIBF王座統一戦の対戦期限を10月8日(日本時間9日)と定めており、ロマチェンコがこれに同意しない場合、王座は剥奪され、暫定王者が正規王者に昇格する。

30歳のアブドゥラエフは2019年9月に米・ニューヨークで、デビン・ヘイニー(米)=31勝(15KO)無敗1NC=が保持していたWBC世界ライト級暫定王座に挑戦したが、4回終了後に棄権によるTKO負け。しかし、11ヶ月後に再起すると、2022年2月に元3階級制覇王者ホルヘ・リナレス(帝拳・ベネズエラ)選手に12回TKO勝ちを収め、昨年2月には元WBA世界スーパーフェザー級王者ロジャー・グティエレス(ベネズエラ)=27勝(21KO)6敗1分=に10回判定勝ち。
昨年10月19日(日本時間20日)にアルゼンチン・メンドサで行われたIBF世界ライト級2位決定戦では、ファン・ハビエル・カラスコ(アルゼンチン)=20勝(12KO)2敗=を12回TKOで撃破。この一戦は当初ロシアで9月6日に行われる予定だったが、アルゼンチンの入国管理局は裁判所命令だとして、カラスコ陣営の飛行機への搭乗を阻止。直前にキャンセルされ、急転直下アルゼンチンでの開催となっていた。

ヘイニ―戦後、9連勝と好調を維持するアブドゥラエフに対し、チャンピオンメーカーのロバート・ガルシアに師事するムラタラはキャリア9年目の28歳。2023年5月に元世界挑戦者のジェレミア・ナカティラ(ナミビア)=26勝(21KO)4敗=を2回TKOで破り、NABF北米ライト級王座を獲得。
昨年7月13日(日本時間14日)に米・ラスベガスのパームズ・カジノ・リゾートで開催された、トップランク興行のメインイベントでは、元IBF世界スーパーフェザー級王者で、現在WBC4位にランクされるテビン・ファーマー(米)=33勝(8KO)7敗1分1NC=を10回判定で破っている。
暫定王座決定戦は、トップランクが興行権を獲得し、米国での開催が有力とみられるが、ヘイニ―戦後、見事な復活を遂げたアブドゥラエフと、トップランク期待のムラタラによる戦いは、激しい打撃となりそうで、好ファイトが期待されます。