2月1日(日本時間2日)に米・ラスベガスのT-モバイル・アリーナで開催された、プレミア・ボクシング・チャンピオンズ興行で大激戦を演じた、元WBA世界スーパーライト級王者で、現在WBO世界同級2位、WBC3位、IBF9位、WBA世界ライト級8位にランクされるイサック・”ピットブル”・クルス(メキシコ)=27勝(18KO)3敗1分=と、WBC世界スーパーライト級11位アンヘル・フィエロ(メキシコ)=23勝(18KO)3敗2分=が再戦。
べナビデスvsモレルのアンダーカードで行われた両者の試合は、初回から激しい打撃戦を展開。クルスは低い姿勢からダイナミックな動きで切れのある左フック、右ストレートを振り抜き突進。対するフィエロは押し込まれながらも左フック、右アッパーを強振。3回には右フックでクルスをよろめかせた。

以後もクルスは強打でフィエロに迫ったが、クルスの左右フックで顎を跳ね上げられながらも、フィエロはインサイドから右ストレート、左アッパーを打ち返し、最終ラウンド終了ゴングまで、両者譲らぬ激しい打撃戦を展開。
10回を戦い抜き98-92、97-93、96-94の判定でクルスが勝利したが、ファイト・オブザ・イヤー候補に挙げられるほどの好ファイトだった。
フィエロは再戦に備え、既にチャンピオンメーカーのロバート・ガルシアの下でトレーニングを開始。雪辱への準備を整えている。

クルスvsフィエロ2は、7月19日(日本時間20日)に米・ラスベガスのT-モバイル・アリーナでの開催が予定される、46歳の元世界6階級制覇王者マニー・パッキャオ(フィリピン)=62勝(39KO)8敗2分=が、復帰戦でWBC世界ウェルター級王者マリオ・バリオス(米)=29勝(18KO)2敗1分=に挑むタイトル戦興行に組みこまれる。
そして同日の興行では、WBC世界スーパーウェルター級王者セバスチャン・フンドラ(米)=22勝(14KO)1敗1分=に、元WBO世界同級王者で同級3位ティム・チュー(オーストラリア)=25勝(18KO)2敗=が挑むタイトル戦もセットされた。
無敗の王者だったチューは、昨年3月30日(日本時間31日)に米・ラスベガスのT-モバイル・アリーナでフンドラの挑戦を受けたが、第2ラウンド終了間際に偶然のバッティングにより額をカット。以後、傷口からの大量の出血に悩まされながら12回を戦い抜いたが、スプリットの判定で敗れ王座陥落。

昨年10月19日(日本時間20日)に米・フロリダ州オーランドのカリブ・ロワイヤルで行われた再起戦では、IBF世界スーパーウェルター級王者バカラン・ムルタザリエフ(ロシア/米・カリフォルニア州在住)=23戦全勝(17KO)=の持つ王座へ挑戦。
チューは自信満々で予想も有利と見られていたが、試合は4度のダウンを奪われ3回1分55秒TKO負け。目を覆いたくなるような惨敗で、チューの強いイメージは消し去られ、限界説も流れ、世界王座返り咲きへの道は相当厳しいものだと感じられた。

しかし、チュ―は世界王座奪還を諦めず、4月6日にオーストラリア・ニューカッスルのニューカッスル・エンターテインメント・センターで、ジョセフ・スペンサー(米)=19勝(11KO)2敗=を4回2分18秒TKOで破り連敗を脱出。一気の連打で攻めかかりコーナーからのタオル投入で試合は終わったが、チューの復調ぶりを確認するには、スペンサーは相手不足だった。
フンドラはチューとの戦いで鼻骨を骨折。V1戦は元WBC、IBF世界ウェルター級&WBAスーパー王者で、WBC世界同級1位にランクされていたエロール・スペンスJr(米)=28勝(22KO)1敗=との対戦が計画されたが、延期に次ぐ延期で完全消滅。
3月22日(日本時間23日)に米・ラスベガスのミケロブ・ウルトラ・アリーナで、WBO世界同級5位、WBC13位ショーデール・ブッカー(米)=23勝(11KO)2敗=の挑戦を受けたフンドラは、ブッカーを全く問題とせず、4回2分51秒TKO勝ちで初防衛に成功している。
約1年4か月ぶりに行われる再戦は、チューの復調ぶりが勝敗を大きく分ける事になるだろう。スペンサー戦を見る限りは、まだまだ昔の動きにはないように映ったが、果たしてどうか。