4団体統一世界スーパーバンタム級タイトルマッチ。WBC、WBO、IBF&WBAスーパー世界同級王者井上尚弥(大橋)=28戦全勝(25KO)=vsWBO世界同級11位金藝俊=キム・イェジョン(韓国)=21勝(13KO)2敗2分=。1月24日、東京・有明アリーナ。大橋プロモーション興行。

”トラブルメーカー”の異名を持つキムは、IBF&WBO世界同級1位サム・グッドマン(オーストラリア)=19戦全勝(8KO)=の負傷により、試合13日前に代理挑戦を即諾。5歳で施設に預けられ、19歳まで孤児院で育ったというキムは、過去7回日本人選手と戦い全勝。「自信がある」と静かな闘志を燃やし、大一番に挑んだ。

ゆったりと構えた井上選手はプレスを掛け、速いジャブ。そして、右ストレートを上下に打ち分けた。

キムの左が井上選手にヒット。試合後、井上選手は「いつもより少し被弾するパンチが多かった。対策不足」と、反省の言葉を述べた。

しかし、力の差は歴然。井上選手の右ストレートを受けたキムの左目周辺は腫れあがって行った。

インターバルで、冷静に井上真吾トレーナーのアドバイスに耳を傾ける王者。

第4ラウンド。ギアを上げた井上選手は強い右を叩きつけキムに迫る。

キムも懸命の抵抗。

強烈な左ボディがキムのボディを襲う。

キムは井上選手に対し、「来い、来い」と手招きして挑発。

井上選手はちょっとムッとしました。そして、「そんなことしなきゃいいのに」と思いながらも、追撃の手を休めない。

左フックを決めた井上選手は、後退するキムに強烈なワン・ツーストレートを叩き込んだ。

キムは吹き飛ばされるようにダウン。

右わき腹を押さえるしぐさを見せたキムは、両手、両膝をキャンバスへつけたまま、全く動くそぶりを見せずマーク・ネルソン(米)主審のテンカウントを聞いたが、コーナーからもあきらめのタオルがリングに投げ入れられていた。

KOタイム、第4ラウンド2分25秒。

敗れたキムは、「井上選手は思っていた以上に速く、パンチも強かった」と語り、挑発行為に関しては、「井上選手が私の方に近づいてきた時に、パンチを打ちたかった」と、真意を明かした。

世界戦24連勝を飾った井上選手を囲むオフィシャル。上写真左からホセ・オリバ―・ゴメス(パナマ)WBA立会人、エドガルド・ロペス(プエルトリコ)WBC立会人、レオン・パノンシージョ(米・ハワイ出身/タイ在住)WBO立会人、ネルソン主審。

井上選手と共同プロモート契約を締結するトップランクのドン、世界の顔ボブ・アラムが試合後のリングに上で、「米・ラスベガス(での試合)を楽しみにしてほしい」とファンに語りかけた。

また、大リーグのドジャースで活躍する大谷翔平選手を引き合いに、「日本は大谷という素晴らしい選手をロサンゼルスにもたらしてくれた。今年の春は井上をラスベガスにもたらしてほしい」と笑顔を見せた。

井上選手の今後のスケジュールは、5月頃にラスベガスでWBC世界同級1位にランクされるデビッド・ピカソ(メキシコ)=31勝(17KO)無敗1分=と対戦。これに勝てば、スポンサー契約を結ぶサウジアラビアで、WBA暫定王者のムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)=12勝(9KO)1敗=とのWBA王座統一戦が有力。

アラムが挑戦者候補として早くから名前を挙げているピカソは、”ロッキー4”で敵地ソ連へ乗り込み、無敵の世界ヘビー級王者イワン・ドラゴに挑み勝利した、ロッキー・バルボアになぞらえ、「ロッキーのような気持ちで戦う」と、すでに臨戦態勢に入り、やる気満々。闘志をみなぎらせている。

しかし、今度ばかりはロッキーも相手が悪い。絶対王者の井上選手がピカソの挑戦をどう撃退するかに注目が集まります。